毎日作る幼児食。パンとご飯どちらが主食として適しているのか悩んでいるパパ・ママも多いのではないでしょうか?パンにはパンの、ご飯にはご飯のメリット・デメリットがあります。せっかく作るなら、子どもの成長にとってプラスになると嬉しいですよね。
この記事では、パンとご飯の特徴を解説し、幼児食への上手な取り入れ方について紹介します。パンとご飯それぞれのメリット・デメリットを理解し、幼児食を作るときの参考にしてください。
幼児食におけるパンのメリット・デメリット
日本の主食といえばご飯のイメージですが、近年ではパンを主食にする家庭も増えています。手軽に購入でき、種類が豊富で美味しいパン。幼児食におけるパンのメリット・デメリットについて解説します。
パンのメリット
主食として人気の出てきているパンですが、なぜ人気が出てきているのでしょうか。主食としてパンを食べる場合、以下のメリットがあります。
準備が簡単
パンは準備に時間がかからないので、忙しい朝は特に重宝します。食パンだとそのまま、もしくはトーストするだけですぐに食卓に出せます。
パンをストックしておけば、ご飯を炊き忘れたときでも困りません。
持ち運びしやすく、食べやすい
パンは持ち運びがしやすいので、外出先で気軽に食べさせたいときにも便利な食品。「手づかみで食べやすい」というところも嬉しいポイントです。食べこぼしてもご飯のようにベタベタすることがなく、後片付けが比較的簡単に済むのもメリットといえるでしょう。
バリエーションが豊富
パンはそのままで食べるのはもちろん、トーストやサンドイッチにするなど、さまざまなアレンジができます。サンドイッチにすると野菜やたんぱく質が取れ、栄養バランスを整えやすいです。パンは種類やアレンジのバリエーションが豊富なので、子どもも飽きにくいでしょう。
パンのデメリット
パンには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。パンを主食として食べる場合のデメリットは以下の通りです。
塩分・糖分・脂質などが多く含まれる
パンには塩分・糖分・脂質などが多く含まれています。まだ内臓の発達が未熟な子どもにとって、多すぎる塩分・糖分・脂質などは体に負担がかかります。パンを選ぶ場合はできるだけシンプルなものにしましょう。
おかずの脂質が多くなる傾向がある
パンのおかずはウインナーやベーコン、ハムやコーンポタージュなど脂質の多いメニューに偏る傾向があります。多すぎる脂質は、子どもでも肥満や生活習慣病の原因になるので注意しましょう。
肥満につながりやすい
シンプルなパンなら問題ありませんが、菓子パンや惣菜パンはカロリーが高く肥満につながりやすいです。また、パンは食感が軽くて食べやすいので、食べ過ぎる可能性があります。
食べ過ぎもまた肥満につながるため、パンを主食にする場合はシンプルなパンを選び、食べ過ぎないように注意しましょう。
アレルギー反応が起こる可能性も
パンは小麦・卵・乳が含まれているものが多く、場合によってはアレルギー反応が出てしまうことも。パンなどの加工食品には食品成分表示があり、どのようなアレルギー物質が含まれるかを確認することができます。安心・安全にパンを食べるために、アレルギーがないかを確認したうえで購入しましょう。
幼児食におけるご飯のメリット・デメリット
日本人が昔から主食として食べてきたご飯。ここでは、幼児食におけるご飯のメリット・デメリットについて、それぞれ解説します。
ご飯のメリット
日本人に馴染み深いご飯には、おいしいだけではなくさまざまなメリットがあります。ご飯を主食として食べる場合、以下のようなメリットがあります。
脂質が低い
ご飯はパンのように塩分や糖分、脂質を多く含みません。そのため、100gあたりでパンと比べるとご飯の方が脂質が低くなります。脂質は消化吸収に時間がかかるため、内臓がまだ未熟な子どもにとって負担がかかる場合があります。ご飯を主食にすることで食事の脂質の割合を調整しやすくなるため、おかずに合わせて上手に組み合わせましょう。また、でんぷん質を多く含むため、噛めば噛むほど自然の甘みを味わえるのも魅力です。
さまざまな食材・調理方法と相性が良い
ご飯は味が淡白なのでさまざまな食材・調理方法と相性が良く、毎日飽きずに食べることができます。和・洋・中、どの料理と組み合わせてもおいしく食べられるので、献立を考える時に悩まずに済むのも嬉しいポイントです。
また、パンと比べて魚をメニューに取り入れやすいのもメリットの一つ。魚は、良質なたんぱく質だけでなく、子どもの脳の発育にも摂りたいDHAやEPAといった不飽和脂肪酸を含みます。そのため、魚と相性の良いご飯は、子どもが摂りたい栄養素も補いやすいのも魅力です。
よく噛むことができる
ご飯は粒状で弾力もありのため、しっかり噛まないと飲み込むことができません。よく咀嚼することは、あごが発達し歯並びも良くなるとも言われています。また、しっかり噛むことで唾液が分泌され消化も良くなり、胃や腸への負担を減らすことが可能です。唾液が多く分泌されると、口内環境の改善にもつながります。
腹持ちが良い
ご飯はパンに比べて消化・吸収に時間がかかるため、腹持ちが良いのが特徴です。また、腹持ちの良さは血糖値の変化によって感じられます。
血糖値の急上昇によりインスリンというホルモンが分泌されて血糖値を下げるのですが、インスリンの分泌が過剰になると血糖値が低下しすぎて空腹を感じます。
ご飯はゆるやかに血糖値を上昇させるのでインスリンの分泌が抑えられ、腹持ちが良いのです。
子どもは活動量が多いため、すぐにお腹が空いてしまいます。腹持ちが良い主食を選ぶならパンよりご飯にしましょう。
ご飯のデメリット
日本人の食生活を支えるご飯にもデメリットはあります。ご飯を主食として食べる場合のデメリットは以下の通りです。
準備に時間がかかる
ご飯はパンと比較して、炊きあがるまでに時間がかかります。ご飯が炊けていないと子どもの「お腹すいた!」、の声にすぐ対応することができません。パンのようにすぐ出すことができないので、炊き忘れに注意しましょう。
塩分が多くなりやすい
ご飯そのものに塩分は含まれていませんが、漬物やみそ汁など、ご飯と組み合わせる食品には塩分が多く含まれます。ご飯を主食にする場合は、おかずや組み合わせる食品の塩分が多くなりすぎないように注意しましょう。
パン vs ご飯!幼児にとってどちらが良い?
パンとご飯のメリット・デメリットについて紹介してきましたが、幼児にとってはどちらが良いのでしょうか?食べやすさや消化の面から詳しく解説します。
パンの食べやすさ
パンは柔らかくて口当たりが良く噛みやすいため、子どもでも食べやすい食品です。つかみ食べがしやすく、子どもの手でも簡単にちぎれるため、食具を使うのが苦手な子どもでも簡単に食べることができます。
食べやすい大きさに小さくカットしたり、さまざまなアレンジができることで飽きずに食べてもらえるのも魅力的です。
ご飯の食べやすさ
ご飯は淡白な味わいなので、さまざまなおかずと相性抜群です。和食に限らず、洋食・中華風にもアレンジできるので、子どもの好みに合わせることができますよ。また、おにぎりにすれば、手づかみ食べも可能です。
ただし、ご飯は粒状で弾力もありパンと比較するとよく噛んで食べる必要があります。食べにくそうにしている場合は、少し柔らかめに炊いたり、汁物を組み合わせてみるなど工夫してみましょう。
消化の良さの比較
内臓の発育が未熟な幼児にとって、消化の良さも注目しておきたいポイントです。
パンは小麦をひいて粉にした小麦粉を原料とする食品で、すでに消化・吸収されやすい状態になっています。そのため、胃にとどまる時間が短くなり消化・吸収が速いです。
ただし、総菜パンやデニッシュパンのように脂質が多く含まれる場合は、消化器に負担がかかる可能性があるので注意しましょう。
また、パンの原材料である小麦には「グルテン」といわれる成分が含まれています。このグルテンは、消化が悪く胃腸に負担をかけてしまうと言われているため、パン食ばかりに偏らないよう献立を工夫しましょう。
一方ご飯は、粒のまま食べるのでゆっくりと消化・吸収されます。また、よく噛むことで栄養の吸収率も高まります。消化の良さという観点では、パンと比較して脂質が少ない食品なので、消化管に負担はかかりにくい食品と言えます。
シンプルなパンとご飯であれば、消化の良さは大きく変わらないため、子どもの好みや体調・献立に合わせて上手に取り入れてみましょう。
パンとご飯、両方をバランスよく取り入れるコツ
パンとご飯にはそれぞれメリット・デメリットがあります。食事は毎日のことなので、偏らないようにそれぞれ上手に取り入れたいですね。ここでは、パンとご飯の両方をバランスよく取り入れるコツを紹介します。
食事のバリエーションを増やす
パンとご飯をローテーションで取り入れると、バランスを整えやすくなりおすすめです。食事のバリエーションを増やせば、子どもにとっても毎回の食事が楽しみになるのではないでしょうか。
1週間の食事プランを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
月曜日
- 朝食:ご飯、納豆、卵焼き、みそ汁
- 昼食:ツナのサンドイッチ、ミネストローネ、オレンジ
- 夕食:ご飯、ハンバーグ、ポテトサラダ、野菜スープ
火曜日
- 朝食:ハムとチーズのトースト、野菜スープ、ヨーグルト
- 昼食:カレー、サラダ、野菜スープ
- 夕食:ご飯、鮭の塩焼き、ひじきの煮物、みそ汁
水曜日
- 朝食:しらすおにぎり、ひじきと大豆煮、豚汁
- 昼食:卵サンドイッチ、ほうれん草のソテー、キウイ
- 夕食:ご飯、豚肉のしょうが焼き、キャベツ、みそ汁
木曜日
- 朝食:ピザトースト、ゆで卵、りんご
- 昼食:親子丼、きんぴら、みそ汁
- 夕食:ご飯、さばのみそ煮、白あえ、きゅうりのおかか和え
金曜日
- 朝食:混ぜご飯、だし巻き卵、野菜のみそ汁
- 昼食:チキンサンドイッチ、サラダ、バナナ
- 夕食:ご飯、八宝菜、春雨サラダ、中華スープ
土曜日
- 朝食:トースト、スクランブルエッグ、ミニトマト、コーンスープ
- 昼食:三色丼、かぼちゃの甘煮、みそ汁
- 夕食:ご飯、肉じゃが、酢の物、すまし汁
日曜日
- 朝食:フルーツサンド、目玉焼き、野菜スープ
- 昼食:チャーハン、ナムル、中華スープ
- 夕食:パン、シチュー、コールスローサラダ
忙しい朝は、納豆やヨーグルトなど調理不要な食品を用意しておくと、便利です。また、たんぱく質の補給もできて栄養バランスを整えやすくなりますよ。
食材が偏らないようにするには、「朝の主食はパンだったから、昼はご飯」のように交互に献立に取り入れると考える手間が省けます。料理も、和・洋・中華のようにさまざまなものを取り入れると、バリエーション豊かに、飽きない食事作りができるでしょう。
また、みそ汁やスープは具沢山にすることで、たくさんの野菜が食べられます。たんぱく質を増やしたいときは、みそ汁やスープの具材を豆腐や卵などにすることで、簡単にプラスできるのでおすすめです。
栄養バランスに気を付ける
主食であるパン・ご飯は、どちらも炭水化物を多く含む食品です。そのため、たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルは、おかずから摂取する必要があります。そのため、栄養バランスを整えるには、どちらを主食にする場合でも、主菜・副菜をそろえることがポイントです。
主食をパンとする場合は、シンプルなパンを選びましょう。不足しがちなたんぱく質はパンにのせたり、挟んだりすることで簡単に補えます。相性が良い食品を具体的に挙げるなら、卵・ツナ・チーズなどが手軽に使えるのでおすすめです。
また、野菜やきのこ類を具沢山スープにしてパンと一緒に食べると、ビタミンや食物繊維もまとめて補えますよ。
主食をご飯とする場合は、ご飯を主体にして1汁2菜を意識すると良いでしょう。時間がない時は、肉や野菜などを入れて炊き込みご飯にしたり、混ぜご飯にしたりするだけでも栄養バランスが整いやすくなります。
幼児の食事への興味を引く工夫
「パンだけ食べる」「ご飯だけ食べる」、と食事が偏りがちな子どもには、食事に興味を持たせるよう工夫してみましょう。
例えば、親子で料理をすれば食べ物を直接触るため興味を持つきっかけになりますし、コミュニケーションも取れます。また、カラフルな野菜を使うなど彩りが綺麗な食事にすると、見た目の印象が良くなり興味を引くことができるでしょう。かわいいプレートに盛り付けたり、野菜を星型やハート型で抜いてみたりするのも良いですね。
また、たまには公園で食べるなど、シチュエーションを変えてみるのも気分が変わっておすすめです。
幼児食におけるパンとご飯についてのQ&A
幼児食におけるパンとご飯について、よくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
ご飯とパンのどちらが幼児の健康に良いですか?
食べる量や頻度が適正であれば、どちらも健康に悪いものではありません。忙しくて時間のない朝はパンを選び、時間に余裕のある時はご飯を選ぶなど、その時の状況に応じて主食を選ぶと良いでしょう。
ご飯・パンは、どちらにもメリット・デメリットがあるので、偏らないよう上手に使い分けるのがコツ。献立が洋食の時はパン、和食の時はご飯とするのも良いですね。
パンとご飯どちらを選ぶにせよ、食事全体の栄養バランスが整っていれば健康面で気にし過ぎることはありません。
パンを選ぶ際の注意点はありますか?
パンには塩分や糖分、脂質が含まれているものが多く、なかでも菓子パンや惣菜パンは含まれる量も多いため要注意。菓子パンや惣菜パンは美味しくてつい食べてしまいがちですが、余分な糖質・脂質を取り過ぎてしまうため肥満につながる可能性があります。食べ過ぎると子どもの体に負担をかけやすくなるため、できるだけシンプルな食パン・ロールパンを選ぶようにしましょう。また、硬すぎるフランスパンやバケットは噛む力が弱い子どもには食べづらく、うまく噛めずに誤嚥のリスクが高まる可能性もあるので避けましょう。
毎日パンを食べさせても問題ありませんか?
基本的に問題はありません。1日の中でパン食が連続にならないようにし、パンだけの食事にならないよう栄養バランスに気を付けましょう。例えば、パン食にする曜日を固定したり、パンとご飯を交互に献立に入れたりと、工夫をするのがおすすめです。グルテンの観点から「小麦を食べさせ過ぎては?」、と心配な方は米粉パンを見つけて利用するのもひとつの方法です。
幼児食でご飯とパンをどう使い分ければ良いですか?
幼児食において、ご飯とパンを使い分けには「子どもの好み・腹持ち」「準備のしやすさ」「献立」などに合わせて使い分けると便利です。どちらの食品にもメリット・デメリットがあるため、ケースバイケースで、使う頻度を調整してみましょう。
例えば、パンには塩分・糖分・脂質が多く含まれており、毎食パンにするとそれらを余分に摂る可能性があります。一方ご飯は、余分なものを含まず体に負担をかけにくいです。このような点に配慮したい場合は、ご飯の割合を多くしてたまにパンを献立に入れると良いでしょう。
とは言え、食事は毎日の楽しみでもあります。今回は洋食だからパン、和食の時はご飯、というような感じで、難しく考えずに取り入れてみましょう。
幼児食のパンとご飯は、バランスよく取り入れることが大切!
パンとご飯にはそれぞれ、さまざまなメリット・デメリットがあります。パンやご飯は単なる主食というだけではなく、どのように食べるかで今後の子どもの成長にも大きく関わってきます。パンとご飯それぞれの良さを理解し、バランスよく食事に取り入れてみましょう。
について詳しく見る