食事のときに子どもがいつまでも食べ物を噛んでいたり、口の中に溜めて飲み込めなくなっていることはありませんか?
このような状態が続いている場合、食材をしっかり噛むことができず、チューチューと吸うだけの「吸い食べ」をしている可能性が考えられます。
今回は、吸い食べによる子どもの発達への影響や原因・治すための対策を詳しく解説します。記事を参考に、子どもの食事が健やかで楽しい時間になるよう、サポートしてみましょう。
吸い食べとは?幼児期における影響と注意点
吸い食べとは、口に入れた食べ物を舌と上顎で挟み、味を吸い出すような食べ方のことです。
母乳や哺乳瓶を吸っていた吸啜(きゅうてつ)反射の名残や、指しゃぶりのように固形の食べ物を吸う感覚を楽しんでいたり、気持ちを落ち着かせるために行っていることが多いです。
吸い食べが続いてしまうと、咀嚼力・嚥下力が低下し、子どもに以下のような影響を及ぼす可能性があります。
- 口内環境や歯の状態が悪くなる
- 窒息の危険性が上がる
- 脳が活発に働きにくくなる
1つ目は、口内環境や歯の状態が悪くなることです。噛むことで分泌される唾液には、口腔内の自浄作用があり、虫歯の予防に役立ちます。
また、咀嚼することで顎が発達し、歯並びが大きく乱れないようにする働きもあります。
2つ目は、窒息の危険性が上がることです。食べ物を小さく噛み切れないまま飲み込んでしまうと、命に関わるので特に注意しましょう。うまく飲み込めたとしても、塊のままの食材は、消化し辛く胃や腸に大きな負担をかけ、便秘の原因にもなります。
3つ目は、脳が活発に働きにくくなることです。咀嚼は脳への血流量を増加させます。そのため、脳を活性化させ、集中力や記憶力を高める効果があると言われています。
また、吸い食べが続くと満腹中枢も刺激されないため、空腹感が続き、一層集中できない状態にもなり得ます。
参考:噛(か)むことの大切さを見直そう ~野菜の効用と食べるタイミング~|農畜産業振興機構
吸い食べの原因
次に吸い食べの原因を3つ解説します。吸啜反射や、指しゃぶりのような行動から起こりやすい吸い食べですが、それ以外にも原因は考えられます。子どもの吸い食べの原因が、どれに当てはまるのか確認してみましょう。
咀嚼の機能が未熟
咀嚼の機能が未熟だと、吸い食べの原因になりやすいと言われています。特に、まだ奥歯が生えそろっていないことで、咀嚼がうまくできない子どもがこれに当てはまります。
食べ物を前歯で噛もうとしたり、歯の裏に食べ物が入ってしまって、うまく噛み切れないためです。
そのため、咀嚼がうまくいかずに疲れてしまうと、食べ物の味だけを吸い取るような、吸い食べになってしまうのです。
食材のかたさが子どもに合っていない
食材のかたさが子どもの発達段階や咀嚼機能に合っていないことも、吸い食べの原因になります。
かたくて噛み切れないものだけでなく、柔らか過ぎるものや、必要以上に細かくカットしたものも、噛みにくさ・食べにくさを感じる子どもがいます。このような場合も、咀嚼がうまくいかず吸い食べになる場合が多いです。
一口に食べる量が多くなっている
一口量が多すぎる場合、うまく噛めないまま丸呑みしてしまったり、吸い食べに繋がる原因を作ってしまいます。まだ口の中に残っているのに、次々に食べ物を詰め込んでしまう食べ方も注意が必要です。
食べ物を舌で奥歯へ送ってから咀嚼し、十分に噛み潰せたものを飲み込むという行為は、口の中に空間があってこそできる動きです。口の中がパンパンになるまで詰め込むと、空間がなくなることで食べづらくなり、処理に時間がかかってしまいます。
一口の量が、適切な量になっているかどうかも確かめてみましょう。
吸い食べを治す具体的な対策
吸い食べを治すために今日から始められる対策法を3つお伝えします。基本的には、少し前の食事の形状やサポート方法を戻すことを心掛けるとよいでしょう。親子共に負担にならない範囲で、少しずつ取り入れてみてくださいね。
食材のかたさ・形を調整する
まずは食材の調理法を工夫してみてください。
顎の力を使うようなかたい食材は避け、野菜はスティック状にしてかじりやすくしたり、柔らかく煮たりしてみましょう。また、ご飯はおにぎりにして、子どもが食べやすい形にしてあげましょう。バナナのような口の中でペースト状になりやすい食材も、咀嚼の機能が未熟な子どもの練習になるので効果的です。
ポイントは「食材を前歯でしっかりと噛み切ること」と「奥歯を使って噛み潰すこと」です。
一方、子どもの食事に気を遣うあまり、逆効果になってしまっている調理法もあります。
<吸い食べの子どもには避けたい調理法の例>
- 食材をあらかじめ小さくカットする
- とろみをつける
これらは咀嚼の練習にならないので、吸い食べを治すという観点からいうとおすすめしません。あくまで咀嚼をうながすような、硬さや形状になるよう意識しましょう。
食事の一口量を考慮する
食事の際の一口量は、5歳児でも大人の半分ほどと言われています。
1〜3歳児であれば、口に入る容量や咀嚼力の未熟さを考慮し、より少ない量を意識しなければいけません。
低年齢児の一口量は、スプーンの皿の1/2〜2/3に収めましょう。子ども自身が適切な量をすくえない場合は、要領を得るまでパパ・ママが介助してあげてくださいね。
声掛けをしてサポートする
子どもが吸い食べを楽しんでいたり、気持ちを落ち着かせる行為として行っている場合、すぐに治すことは難しいです。
まずは、パパ・ママが下顎を大きく動かして食べ物を噛んでいる姿を子どもに見せましょう。また、子どもがうまく食べられたときには「モグモグ上手だね」と褒めてあげたり、「お口の中が空っぽになったら、次のご飯を食べようね」と次の行動をうながしてみたり声を掛けてサポートをしてあげましょう。
食事への集中力が切れたときや、眠いときに吸い食べになってしまう場合は、時間を決めて切り上げてみるのもよいでしょう。ダラダラと食べ続けるのは、子どもだけでなくパパ・ママの負担にもなってしまいます。一度気分転換する時間を取り、次の食事で再挑戦してみてください。
吸い食べに悩む方のよくある質問
ここからは、吸い食べに関するパパ・ママの不安や疑問にお答えします。すでにお伝えした食材や食べ方の工夫だけではなく、子どもの咀嚼力を鍛えるような遊び・吸い食べが続いた場合の影響・相談先も紹介しています。ぜひ、参考にしてくださいね。
吸い食べは自然に治るの?
奥歯の乳臼歯が生え揃い、しっかり噛み合うようになると、自然に咀嚼力が高くなってきます。そうすると、繊維質の肉や野菜なども上手に噛み切れるようになると言われています。
低年齢のうちは過度に心配する必要はありませんが、「食事以外で気を付けられることはないの?」「歯列が完成しているのに一向によくならない」と気になる方は、以降の回答をヒントに対応してみてください。
吸い食べを治すにはどうすればよい?
吸い食べを治すには、食事のかたさや形状の工夫だけでなく、口周りの筋肉や顎の力を鍛えていく動作を、遊びに取り入れるのもおすすめです。
<子どもの吸い食べに効果的な遊びの例>
- 歯固めのおもちゃを噛む
- シャボン玉遊び
- ラッパや笛などの口を使う楽器を吹く
わざわざおもちゃを買わなくてもOK。ティッシュやスズランテープをストローでフーッと吹いて、ヒラヒラ舞う様子を楽しんだり、机に置いたティッシュをストローで吸い上げて移動させたりするゲームも十分トレーニングになります。ぜひ、試してみてくださいね。
吸い食べが続くとどうなるの?
吸い食べが続くと、咀嚼機能が低下してしまいます。
十分に咀嚼しないまま飲み込んでしまうと、窒息の危険性・便秘のリスクも高まるため注意しましょう。また、食べ物をチューチューと吸って味が無くなった後にペッと吐き出してしまう子どもは、体に必要な栄養素を摂り入れられず、栄養不足に繋がる可能性も高まります。
歯が生えそろっても吸い食べが改善しない場合には、なるべく早くパパ・ママが調理法や食材の形状を工夫したり、サポートの仕方を変えて噛む力を鍛えてあげることが必要です。
吸い食べで困ったときはどこに相談すればよい?
「色々な方法を試してみたけれど、改善の様子がみられない」という場合は、健康診断の際に相談してみるか、かかりつけ医・小児歯科を受診して相談してみましょう。まれに吸い食べの原因が、口腔内の問題であるケースもあります。
吸い食べが長く続いて心配なときは、パパ・ママだけで悩まず小児歯科のような専門機関で噛み合わせや歯の状態をチェックしてもらうと安心ですね。
mogumoでも子どもの食事に関するお悩みを公式LINEでご相談できますので、下記からお気軽にお問い合わせください。
吸い食べは食事の工夫をして子どもの成長を見守ろう!
吸い食べの原因は、子どもによって異なります。そのため、パパ・ママが様々な工夫をしても、すぐに効果が出るとは限りません。吸い食べの改善にこだわりすぎてしまうと、家族みんなが疲れてしまいますよね。
まずは、子どもの吸い食べの原因を確かめつつ、試行錯誤を繰り返しながら気長に対応していきましょう。大人がモグモグとおいしそうに食べる姿を子どもに見せ、「食事を楽しむ」ことを最優先に考えて、食事への意欲を高めてあげてくださいね。
心配な場合は、かかりつけ医や小児歯科のような専門機関に相談するのも方法ですよ。心の余裕を大切にして、子どもの様子を見守り適切な対策を取りましょう。
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